藤岡みなみ
“ある健康機器メーカーの顧客相談窓口にその電話がかかってきたのは2014年夏のこと。声の主は60代後半の男性で、「1カ月前に購入した血圧計が故障した」というよくある苦情だった。応対した担当者は謝罪をした上で、マニュアル通り「着払いで血圧計を送ってもらえば新品に交換する」と申し出て、男性は了承した。これが、この男性との長い“闘い”の始まりだった。 再び電話が来たのは1週間後。交換した商品にも不良箇所があったのではと気をもんだ担当者だったが、男性の口からは思いもよらぬ言葉が飛び出した。「商品は受け取りました。では次に、なぜ不良品が発生したのか原因を特定し、報告書を提出してください」。 話を聞くと、この男性は大手メーカーで品質保証部門の責任者を務めた経歴があった。そのためモノ作りの現場には詳しく、原因を一通り説明しても「そんな品質管理はあり得ない」「検査工程にこうした課題があるのではないか」と一歩も引かない。何度もやり取りを重ね、やっと納得したと思ったら、「次は、今後の対策をまとめていきましょう」と言い出した。”
